旧新津邸 出雲崎町尼瀬 三島郡 新潟県
この邸宅は出雲崎町出身の二人の実業家新津恒吉氏(1870年〜1939年)と、その後、新津家から譲り受けた青山庄司氏が所有していたもので、平成20年3月に青山家より出雲崎町に寄贈されたものです。
   商人魂で商業界の発展に努めた
 青山庄司
 青山庄司氏は出雲崎町尾瀬字伊勢町出身で、洋反物卸商として大変な努力により成功され、マルベニ洋品店(東京都台東区)を創業されました。全国商業界の発展に努められたほか、各方面でご活躍され、東京都知事賞、台東区長賞なとを受賞されています。青山氏は、常に郷土を愛され、良寛記念館理事長、東京出雲崎会会長を歴任されるとともに、社会福祉行政発展のためにと出雲崎町に多額の金員をご寄付いただきました。町はその功績と貢献を讃え、平成13年6月「出雲崎町名誉町民」の称号を贈呈いたしました。

    一財を社会に捧げた日本の石油王
 新津恒吉
 新津恒吉氏は、石油元売会
社(昭和シェル石油)の前身の一つである新津石油の創業者で、明治3年出雲崎町大字尾瀬字岩船町に生まれました。当時、出雲崎は手掘りから機械掘りに移り変わる石油採掘の全盛期で、実家の小間物屋から精油業を始めました。新津氏が22歳頃のことです。その後、事業拠点を新津市(現新潟市秋葉区)に移しました。工場の出火や水害など苦境に立たされながらも、再建のため不屈の精神で日々奔走し、石油需要の増加と共に事業は立ち直り功成り名を遂げるに至りました。 その後、私財を投じて新潟市公会堂の建設に寄付をしたり、外国人技術者のための迎賓館(新津記念館(新潟市中央区))を建設するなど各地にその功績を残しています。
 この邸宅は、和を基調とした開放感のある建物で、随所に細かな細工が施されこだわりが感じられます。また、奥には二つの土蔵もあり、多くの所蔵品が保管されていたと想像されます。町はこの貴重な建物を地域の交流拠点として大切に保存しています。   出雲崎町