素龍本おくのほそ道本分より抄
南部道遥にみやりて岩手の里に泊る。小黒崎・.みつの小島を過ぎて、なるこの場より尿前の関にかかりて、出羽の国に越んとす。此道旅人稀なる所なれば、関守にあやしめられて漸として関を越す。大山をのぼって日既に暮ければ、封人の家を見かけて舎を求む。三日風雨荒れてよしなき山中に逗留す。
   蚤風馬の尿する枕元
曽良随行日記よりの抄
十五日小雨ス右ノ道遠ウ難所有之由故、道ヲカヘテ、宮、かじハ沢、此宿へ出タル、格別近シ。此間、小黒崎・水ノ小鳥有。名生貞ト云村ヲ黒崎ト所ノ者云也。其ノ南ノ山ヲ黒崎山ト云。名生貞ノ前、川中二岩鳥二松三本、其外小木生テ有。水ノ小島也。今ハ川原、向付タル也。古ヘハ川中也。宮・一ツ票ノ間、古ヘハ入江シテ、玉造江成ト云。今、田畑成也。
芭蕉像・小黒ヶ崎 境松 鳴子温泉 大崎市 宮城県