愛染かつら

旅の夜風
花も嵐も 踏み越えて
行くが男の 生きる途
泣いてくれるな ほろほろ鳥よ
月の比叡を 独り行く

優しかの君 ただ独り
発たせまつりし 旅の空
可愛い子供は 女の生命
なぜに淋しい 子守唄

加茂の河原に 秋たけて
肌に夜風が 沁みわたる
男柳が なに泣くものか
風に揺れるは 影ばかり

愛の山河 雲幾重
心ごころを 隔てても
待てば来る来る 愛染かつら

やがて芽をふく 春が来る