「忘却とは 忘れ去ることなり
忘れ得ずして忘却を誓う
心の悲しさよ」
君の名は……と たずねし人あり
その人の 名も知らず
今日砂山に ただひとり来て
浜昼顔に きいてみる
夜霧の街 思い出の橋よ
過ぎた日の あの夜が
ただ何んとなく 胸にしみじみ
東京恋しや 忘れられぬ
海の涯に 満月が出たよ
浜木綿の 花の香に
海女は真珠の 涙ほろほろ
夜の汽笛が かなしいか